薬膳とは

薬膳とは

季節、体調に合わせて施膳する方法。’今’のご自身の体の’ゆらぎ’を把握する事で、必要な食材を厳選していきます。具体的には<四性五味>に分かれた食材を取り分ける事で、内臓を癒し細胞を活気づけていく方法です。

今ある体や心の「停滞したエネルギー」は、以前食べたものが原因となっている事があります。食べ物は単なる栄養だけではなく、私たちの全ての細胞・活力を築く源です。

食物の食性

中国では食材の栄養効能として、今の科学の代わりに、このような概念で成分を捉えていました。全ての食材には 四性 五味 機能 方向性がある。(→詳しくはスクールブログまたはレッスンへ)それを的確に診断した病人に食べさせれば(「施膳方針」という) 症状は解するはずだ、と。そこでその食性を生かす調理法が発展し、配合例や保存方法も考案されたのです。

薬膳の役割と効能

古代から中国人は薬膳をこのような目的で利用してきました。

  1. 調整陰陽薬膳
  2. 調整五臓薬膳
  3. 益智薬膳
  4. 明目薬膳
  5. 延年益寿薬膳
  6. 補気血薬膳

私たちが日常に取り入やすいのは、5、6 にくわえて、季節の薬膳料理でしょう。この本格的で体系化された教えを、当店では [国際中医薬膳師] の有資格者である代表から学ぶことができます。(→生薬のぶろぐ、プチレッスン、スクールのブログへ)

また、施術のメニューによっては、クライアント様ひとり一人の体質に合わせた食材ホームケアアドバイスとして無料で提供しております。ぜひお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ

医食同源

薬食同源ともいいます。薬剤と食物は同じ役割、一つの源であるということ。中薬は元々、はじめから薬として栽培された訳ではなく、中国の長い歴史の中で人々の知恵として、食材の効用が発見されていったもの。であるならば、食物にはすべて其々に効用・体への影響があり、それを研究したのが今日の薬膳の膨大なデータとなっている。つまり、特別な生薬を手に入れなくても、日常の食材で薬膳を施膳できるのである。

薬膳の歴史

中国ではもともと「薬膳」の言葉はなく、「営養学」と呼ばれていた。春秋戦国時代に書かれた最初の医学書『黄帝内経』にも「食養」という言葉があり、また、『千金要方』には「食療」という記載がある事から、三千年前から食に関する治療研究が行われていたと考えられる。

原始人類は食物を探すうち、特定の食材に偶然毒性や、薬効を発見し、それを組み合わせとして試すうち、厳しい自然環境に打ち勝つ医療として発展させていった。中国においては、周の時代(BC11世紀~BC256年)宮廷内に「食医」「食官」と呼ばれる専門の役職が配置され、王侯貴族にたいして美味しく且つ長生きできる食事を配膳していたが、春秋戦国時代(BC770~221年)にいたり、「薬学」として専門的に整理された。戦国時代から漢の時代にはハーブの専門書『神農本草経』も出版され今でも薬草学のバイブルである。秦の時代(BC221~207年)の始皇帝は不老長寿の追及者として有名である。この時代には仙人思想に基づいて誤った薬(水銀や重金属)の服用例も散見されたが、毒の利用が追求された期間であり、当時の皇帝がいかに食営養学に熱心であったか思いを馳せることができる。

唐(618~907年)の時代から宋(960~1279年)は日本との交流があり、食に関する専門的な知識も渡ったようである。その後日本では交易が途絶えた戦国から江戸時代にかけて独自の民間療法としての薬学「漢方」が発展した。うなぎの逸話など、とても興味深い民間信仰として残っている。

中国に話を戻すと、宋の時代(960~)『大平聖恵方』には28種類の疾患病気に対してそれぞれの食療法が記載され、この時代になると研究がより細やかに進んでいることがわかる。金・元の時代(1115~1368年)『脾胃論』が著され、健康の源は「元気」(胃腸から生み出される気)であるという考え方が生まれた。これはのちの中医学に大きく影響し今でも施術の中心に据えられている。元の時代にはモンゴルの勢力の活躍から、寒い北の地方の食材と病床研究が進み、朝廷の栄養侍医であった思慧が残した『飲膳正要』には、薬は省いた食物だけの栄養と治療効果が細かく記載され、現代でも大変役に立つ資料として扱われている。

明(1368~)清(1644~1911)の時代には、長期政権のもと、さらに細かく薬草学と方剤学が大いに発展した。この時期の出版された書物の数はとても多い。そして、平和な時代の特色として、宮廷の専門的な極秘事項であった食療法が広く民間へ普及し、ホームドクター「医家」も食療法を重要視して多くの人に愛好されるにいたった。

中華民国建国から現代の中国営養学は、西洋医学との対立など、苦難の道でもあったが(→ブログに詳しく)現在は国立大学をはじめとして世界中で研究され、日々目覚まし成果を上げている。